Alpine Gardening

アルパイン・ガーデニング入門

ロックガーデンとアルパインローン


 

はじめに
 
  日本では今、イングリッシュガーデンのブームですが、イギリスで人気があるアルパインガーデニングと、日本の「山野草栽培」という園芸分野は、対象とする植物や、その楽しみ方がやや異なります。

 日本の山草園芸が鉢栽培を中心に発展してきたのに対して、英国では庭での栽培が主流です。鉢栽培ではレベルアップにつれて、どうしても生きた標本コレクション的になってしまうのですが、英国のアルパイン・ガーデナーたちの多くは、初心を忘れず、アルパイン・プランツ(Alpine Plants=高山植物)のある庭を風景として楽しむ気持ちを持ち続けているように思えます。

 イングリッシュガーデンやコテージガーデンと呼ばれる庭でもアルパイン・プランツは重要で、ロッケリーを配置した庭では、当然アルパイン・プランツが植えられています。一般家庭の小さな庭では、小型のコニファーやヒースをアクセントに添えて、山野草を多用したアルパインローン的な庭があちこちで見られます。

 英国のナーセリーで生産販売されているアルパイン・プランツの種類は豊富で、選抜育種や原種の交配による優良品種も多数作出されており、それぞれの園芸家がレベルに応じた個性的な栽培を楽しむことが可能です。庭への植栽に適する栽培の易しい植物も、全世界から集められています。

 


ロックガーデンとアルパインローン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  高山植物を庭に植えて楽しむためには、本格的なロックガーデンを作るのが理想的ですが、造成にはある程度の面積が必要で、石組みも易しくはありません。将来を見越して綿密な植栽設計を立て、丹念に管理しなければ、湿潤な日本の気候では、ロックガーデンを作ったつもりが、いつの間にか日本庭園風に変わってしまいます。雑草との戦いも凄まじいものとなります。

 アルパインローンは、基本的にはロックガーデンの一形態ですが、一般的にはロックガーデンの簡易型として考えられています。ロックガーデンが自生地環境の再現を目的としているのに対して、アルパインローンは観賞を優先させ、高山植物を植えたコーナーを、庭の空間や雰囲気に調和させて、ランドスケープとして見るためのもので、配置する岩は小さく少量にして、景観的にはフラットな感じすることが多く、前景に芝生やペーブ(舗石)を組み合わせたりもします。

 いわゆるイングリッシュガーデンに一番多く組み入れられているスタイルで、用土や排水などの基本条件が完全であれば、かなりの難物でも育ちますが、パッチ状に配置できるダイアンサスやオウブリエタ、フロックス等の植物が多く植えられています。こうした植物は鉢栽培が多い日本では需要が少なく、あまり導入されていなかったのですが、最近はかなり入手できるようになりました。

 たとえ小さなスペースでも、アルパインローンを作れば山草栽培は一段と楽しくなります。

 アルパインローンについて解説した本としては、RHSが発行している「The RHS Book of Planting Schemes」が簡潔な説明で、図や写真が多く、ロックガーデンとの違いが判り易い文献です。高価な本ですが、洋書取り扱い書店には店頭在庫があることがあります。。

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最終更新日 : 2010/10/10
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