Alpine Gardening

アルパイン・ガーデニング入門

ステップ4・植栽設計

 

 
 アルパインローンへの植栽についてよりも、まず構造や景観イメージについて知りたい人が多いようですが、さまざまなパターンやそのバリエーションがあって、それをHP上で解説するのは困難です。園芸雑誌にもアルパインローン的な庭が紹介されることはまれです。海外山草会(特にAGS)の会報には、アルパインローン的な庭の写真が多く載っていますが、著作権の関係で転載できません。もし友人・知人に海外山草会の会員がいたら見せてもらってください。

   基本的な構造など
  • 斜度・ロックガーデンほどの斜度は不要ですが、いくらかの斜度があるほうが、景観的にも変化があり理想的です。
  • 用土・ステップ3で解説した山砂主体で、深さ30cm程度もあれば、たいていの山草は栽培可能です。この場合、グランドレベル下30cmよりも、盛り土としての30cm入れる方が排水は良くなります。
  • もとのグランドレベルとの段差は、なだらかなスロープ、または石積みの低いウォールで処理します。
  • 狭い面積であれば、鉄平石のような平たい石を積んだウォールで全体を囲みこみ、ベッド風に仕上げるのも良いものです。
  • 岩石・自分で動かせる程度の大きさの石で充分で、数もさほど必要ありません。石は根を冷やす効果がありますが、狭いスペースでは、石を多用すると植物を植えるスペースが失われます。石は高価なものは不要です。玉石以外の、角の多い普通の山石が植物と調和してくれます。形・サイズが不揃いの方が自然な感じになります。あまり頭を突出させず、フラットな景観を保つようにします。
  • 造園屋に頼む場合はもちろん、自分で作る場合も、下の例のような平面図と断面図を作ることを、お奨めします。最低限、こうした図面が無いと、造園屋さんは日本風の庭を作ってしまうことが多い。
 

・ご近所さんなら、無料の山石を進呈できますので、ご来訪の時にお申し付け下さい。「札幌硬石」に似た石です。搬出運搬は自前でお願いします。



   植栽設計の前に
  • アルパインローンでは、低いマットになるクッション植物をパッチ状に配置し、矮性のコニファー、潅木類なども植えて、景観を作ります。個々の植物、個々の花にとらわれず、全体的な調和を考えて植物を選ぶことが重要です。
  • 日本産の植物主体では、花期が春から初夏に集中してしまいます。海外産の遅咲き植物を配置したり、斑入植物や葉の色が美しいカラーリーフ植物も取り入れて、夏以降も楽しめるように工夫します。

春から秋まで花の絶えない植栽計画が理想ですが、アルパインプランツ主体では不可能とも言えます。アルパインローンに隣接して、ごく矮性の一年草のコーナーを作るのと、花の無い時期も寂しさは感じません。スイートアリッサムや一年草のロベリアなどであれば、アルパインローンに混植することも可能ですが、他の植物と競合しないように株間は十分に確保します

矮性の一年草
  • 花後に大きく育つ植物も多いものです。植栽候補に選んだ植物について、購入前に、その点の確認も必要です。
  • 2〜3年後の状態を考えて、最初は数多くの植物を植えず、裸地が目立つぐらいからスタートします。最初から密植状態では、植物が生存競争をするため、弱い植物は負けて消えてしまいます。
  • 参考文献・鉢栽培が中心の日本では、今のところ良い参考文献がありません。RHS発行の「GOOD PLANT GUIDE」はAGM(The RHS Award of Garden Meritの略)200種の植物が写真入りで解説されている好著。アルパインローンに向く植物も多数収録されていて、草丈・株の直径や、日照、用土の湿度、栽培のポイントなどが簡潔に説明されている。
  • 同じくRHS発行の「The RHS Book of Planting Schemes」は、アルパインローンとロックガーデンの違いが、多くの図や写真で判り易く解説されている文献ですが、高価。洋書取り扱い書店には店頭在庫があることがあります。

更新 11/10/16