FAQ - 実生について

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Last Update: 2008/03/23

 実生についての質問と答え


 実生についての質問と答え


山野草を実生で増やしたい。播種の方法を教えてください。


実生のノウハウは、言葉では伝え難いことが多いので、取り敢えずは市販の園芸図書をご覧下さい。簡単ですが、図解が載っていると思います。
 お奨めは 「山野草早わかり百科」久志博信著、主婦と生活社 主婦と生活 生活シリーズ
 同じ著者で、ほぼ同じ内容の 「山野草大百科」講談社発行は、2005年3月発行。
 著者千葉県在住ですので、関東でのノウハウを書いていますが、アルムでは実生用土は、表面だけ1ミリ以下の砂を1cm弱入れ、下は3-4ミリの粒のエゾ砂(日高砂)単用です。
表面にミズゴケの粉は使っていませんが、播種後の種子は乾燥すると発芽しないので、慣れないうちはミズゴケ粉を使う方が無難です。
山野草の種子は、特殊な種類を除いて覆土はしません。特に、オウリキュラなどサクラソウ科の種子は好光性種子ですので、覆土すると発芽しません。また、山野草の種子は、採り播きが基本ですので、入手したら、なるべく早く播種するのが理想的です。寒いうちに播いて気長に発芽を待つのが、一番失敗がありません。加温促成発芽は、プロでも失敗することがありますので、自然な温度上昇に任せるのが無難です。


種子の冷処理は、どの程度の日数必要でしょうか。


残念ながら、人工的な冷処理(コールド・トリートメント)の最低必要期間のデータ資料は持っていません。
海外に種子を注文した場合、遅いところは2月下旬に送ってきますが、休眠が深いプリムラやゲンチアナなどでも、北海道では人工的な冷処理はしません。種子はジベレリン100ppm溶液に2日浸けて、播種後に無加温室(日中の最高気温10℃止まり、夜温0℃前後)に5-6日置き、それから雪を掘って地面に置き、雪を被せて春まで待ちます。これで冷却期間は2ヶ月になり、この程度で殆どの植物の種子は休眠打破ができます。それでも雪解け後から発芽までの間に気温が上がり過ぎた場合は、発芽しない、発芽が揃わないことがありますので、雪解け後は日陰で気長に管理しています。
発芽を早めるために加温するのは温度の調整が難しく、発芽適温を越えると二次休眠に入ってしまうことがあります。
冷処理については、一般の園芸書には解説がないので、冷蔵庫に乾燥種子を入れるだけの人がいますが、これでは冷処理になりません。布切れか、キッチンペーパーのようなものに種子を包み、少し水を入れたトレイなどに入れて常温で充分に吸水させてから冷蔵庫に入れます。
冷処理後は、新聞紙などの上に広げて半乾きになりましたら、二つ折りにした古ハガキなどに種子を掻き落すと、上手く播くことが出来ます。


タツタソウの種子を収穫することができました。 封筒に入れて乾燥保存していますが、いつ蒔けば良いのでしょうか。


メギ科の植物の種子は、「採り播き」が基本で、保存すればするほど発芽能力が衰えます。採り播きで翌春発芽しますので、発芽までの潅水管理が面倒であれば、古いナイロンストッキングの爪先部分を切り取って小さな袋を作り、それに種子を入れて、庭土に埋めて置きます。深さは10cmもあれば、普通は種子が乾くことがありません。
これを秋に掘り出して、手早く鉢播きします。大きな種子なので、種子が隠れる程度に覆土します。実生用土は砂質用土だけよりも、良質の腐葉土を少し混ぜる方が発芽が良くなります。
発芽後に苗の根が絡み合うと、移植に手間取りますので、その前に(目安として発芽から3ヶ月後程度)、一本ずつに移植します。
発芽から開花までは、順調に育って4年程度を要します


ドデカテオンの実生の仕方を教えてください


サクラソウ科の植物なのでプリムラの播種に準じますが、クリンソウのように水湿を好みますので、用土にミズゴケ粉を混ぜると良いでしょう。ドデカテオンはプリムラと同じく好光性発芽種子ですので、覆土はしません。土の粒と粒の間に沈み込む程度であれば、光が届きますので、発芽には影響しません。
実生の小苗も成株とおなじ成長サイクルで、夏には休眠に入ります。枯れたと早合点するのは禁物です。成長期間が短いので、苗の移植は発芽の翌年以降まで待つ方が失敗しません。


メコノプシス・カンブリカ。こちらのリストに苗を発見しました!種を入手して播くのと、苗を植えるののでは、苗の方が確実でしょうか?苗の場合、いつ植えるのがいいでしょうか?寒冷地で種子を播く場合の適期と、留意すべき点なども教えてください。


実生が上手な人であれば、種子で繁殖させるのが一番ですが、ケシ属と同様に植え替えを嫌う植物なので、皆さん実生には苦労しているようです。露地に直播であれば、多めに種子を蒔き、うまく発芽したら間引きして育てるのが一番ですが、露地まきは発芽まで潅水などの管理が大変で、発芽してからも小さなうちはナメクジなどの餌になりやすく、気を抜けません。火山礫植えポット仕立て苗は、移植によるダメージがないので、確実です。寒冷地であれば、苗の定植は初秋か春が好適です。
通販は、葉茎が柔らかいので春送りは困難です。越冬が心配であれば、秋に入手してポットごと土に埋め、春になってから定植するのが北海道東部などでは一般的です。
実生は採り蒔きでもよいのですが、発芽が揃いません。寒冷地では苗が小さいうちに凍結すると、直根が切れて枯死するので、3月中旬頃に播種しますと、発芽も揃います。蒔き床は戸外の寒さに晒して、人工的に加温はしません。発芽が確認された段階で、無加温のフレームなどで雨風、ナメクジなどから護ると理想的です。移植は本葉2枚程度が最適で、それ以後は移植によるロスが多くなります。覆土はしないので、実生用土は火山礫、川砂などが良いです。


コケモモの実生は難しいですか。


コケモモの実生は、ツツジ科の実生経験がある人ならば難しいものではありません。ただ、一部の園芸書にあるように、ミズコケ粉に播く方法は現実的ではありません。非常に細かな種子なので、1ミリ粒程度の火山砂を使います。
ミズゴケでは、潅水で種子が沈下してしまうことと、幼苗は非常に成長が遅く、丸一年以上は移植が不可能なので、ミズゴケでは肥料で汚れて雑菌が繁殖・立ち枯れするためです。