FAQ - 栽培について

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Last Update: 2008/03/23

 栽培についての質問と答え


 栽培についての質問と答え

アンドロサセ・サルメントーサ・リンプリヒテイ」について。苗に円形に連なった葉がいくつもついていますが、これは来季のための芽でしょうか。それとも冬までに枯れるものでしょうか。非常に繊細に見えるので、このまま戸外で信州の寒風にさらしていいものか、迷っています。

これはランナー芽です。冬にはロゼットの外側は少し枯れますが、中心部分は残って来年以降成長します。チベット原産なので、寒さは問題ありません。この芽は接地していると、やがて根を出します。風などで動いて落ち着かないようであれば、ランナーの茎部分に小石などを載せてやりますが、普通は放置していても、自然に根を張ります。


オウリキュラの花茎が伸びません。昨年7月購入し、2月下旬につぼみが見えて喜んでいたのですが、葉の中から花の茎がまるまって姿を現し、過保護の管理のせいか、花茎が伸びないままで、花が咲き始めてしまいました。これは、失敗なのでしょうか。暖かくしてしまったからでしょうか、函館市在住です

オウリキュラは高山植物由来の植物ですので、北海道では戸外で越冬します。火山礫を入れた用土であれば、露地植え栽培もできます。高山植物由来ということは、成長サイクルに四季の変化が必要ということです。したがって、冬の休眠期は寒いほど、春になってからの成長が旺盛になります。休眠期の寒さが足りないと、花茎が伸びずに咲くことがあります。
北海道では8月下旬には、株が充実して、翌年の花芽が分化しますが、秋の気温が高いと、9月下旬から10月にかけて狂い咲きしてしまうことがあります。この場合も花茎が充分に伸びない例が見られます。
チューリップなどでも、鉢植えで室内などに置くと、やはり花茎が伸びずに開花してしまいます。
オウリキュラの株分けは、北海道では春の開花後に行うのが普通で、花後に新しい葉と根が旺盛に出ますので、春が最も安全な時期です。
止むを得ず秋に株分けした場合は、室内などである程度の温度を保って保護し、根の成長を待ちます。用土は蝦夷砂が入手し易いと思いますが、園芸店で販売していないようであれば、鹿沼土に硬質の赤玉土を少し混ぜた物でも良いと思います。函館でしたら、駒ヶ岳の火山礫を混ぜるのも良いです。
室内で越冬させた場合、コブシが咲く頃になりましたら、外気に徐々に慣らして、たっぷりと日に当ててください。気温が低い時期は、日照が多いほど良いです。


2年ほど前にオーリキュラを送っていただきました。冬の管理方法について様々なサイトで検索しましたが、積雪地での管理については分かりません。当地は、長野県です。冬の積雪は2メートル程度になります。昨冬も、一昨年冬も玄関先の風徐室で育ててきました。最低気温はマイナス6度くらいになります。春が近づくと沢山花をつけて楽しませてくれるほど元気に育っています。夏は日陰の戸外で過ごしてきました。11月を目前にして、越冬を考える時期になりましたが、鉢数が多くなり、風徐室も手狭になったので、戸外でも越冬できるかしら?と考えました。直接除雪の雪がかからない庭に鉢を置いても大丈夫でしょうか?

オーリキュラ(プベスケンス)は、もともと高山植物起源ですから、北海道東部の厳寒の冬でも戸外で越冬します。当園の圃場ではマイナス20℃程度ですが、道東と違って非常に雪が多く、近年は温暖化で湿った豪雪になります。
積雪下で越冬させるには、黒くなって根元に残っている古い葉の残滓を、ピンセットを使って徹底的に取り除きます。また、下の方で黄ばんでいる葉も、春までに役目を終える葉なので、早めに取り除きます。理由は、春近くなって雪の下が多湿状態になると、枯葉やその残滓が細菌によって腐り、それが健康な茎葉に感染することを予防するためです。
作業としては、以上ですが、フレームなどに入れていた株は休眠準備が不十分なので、紅葉が始まる頃には戸外に出して、自然な寒さに遇わせます。後は、鉢を地表に置くだけですが、置き場所の水捌けが悪い場合は、山草用土などの砂を敷いてやります。初冬の頃は、鉢土も完全凍って冷凍状態になりますが、大丈夫です。


日本サクラソウ 「屋外の積雪下での越冬は可能か?」 質問します。 栽培法の本を見ても、当地青森は対象外のような気がするのと、周りに栽培している人がいないため、教えてください。積雪下での越冬が可能でしたら、雪解け直後に植え替えする、という方法で是非チャレンジしてみたいと思っています。

日本サクラソウと言うのは通称で、本来は、ただサクラソウPrimula sieboldiiが正しいのですが、海外産のサクラソウ類(プリムラ類)と区別するために、いつしか日本サクラソウという通称が定着してしまい、学者でも平気で日本サクラソウと呼んでいたりします。
サクラソウは分布が広く、九州から北海道まで自生しています。南に行くほど高い山に自生するのは、冷涼な気候を好むからです。江戸時代から、沢山の園芸品種が生まれていますが、本来の栽培適地は東北、北海道でしょう。北海道では、庭植えにして育てる人も多いですが、普通の庭土では、あまり育ちが良くありません。
栽培マニュアル本は、関東以南を対象に書かれていますので、かなり面倒なことを書いてありますが、北国では、雪解け後に、土が凍結しなくなったら、大きな芽を、鉢の中心に入れて毎年植え替えします。葉が1センチ程度に伸びるまでの時期が、植え替えの適期です。
一年で、根が浮き上がってきますので、少し深めに植えると、その後、増し土の手間が省けます。用土は、完熟した腐葉土、又は完熟バークなどと、鹿沼土、または日高砂を半々に、赤玉土を混ぜても良いでしょう。この配合の用土であれば、落葉樹の下などに庭植えも出来ますが、根が露出してきたときは、増し土して隠してやります。露地植えも3年目には芽が混み合ってきますので、株分けを兼ねて植え替えします。
 花が終わる頃から、気温が高くなりますので、半日陰になるように管理するだけで、とくに難しいことはありません。夏を過ぎると休眠して地上部がなくなりますが、その後も乾かないように普通に潅水します。冬は、鉢を地上に置いておくだけです。鉢が完全に凍結しても大丈夫ですし、もちろん、積雪下は最高の条件です。品種も多く、最も栽培容易な日本産プリムラですので、ぜひチャレンジして見てください。


春先に株分け、植え替えをしなかったため、株が立ち上がってしまったオーリキュラの鉢がありますが、越冬前に植え替えることは可能でしょうか。(10/24)

秋に植え替えした株や、これから植え替える株は、根が土を充分に抱きかかえていない状態で越冬することになり、用土が凍結すると株が飛び出して、その時に根が傷みますので、これらはフレームなどで越冬させます。
株が立ち上がっているものは、そのままで越冬できますが、気になるようであれば、増し土して置きます。戸外越冬させたものは、開花期が遅くなりますが、春になってからの成長は、むしろ旺盛になります。


昨年9月に購入したキクラメン・ヘデリフォリウムについて。先月末に葉が全て枯れて、今後どうなるのかと思いながら丸坊主の植木鉢に表土が乾いたら水を与えて管理していたら、今月に入ってニョキニョキと芽を出し次々と咲き初めました。微妙なピンク色できれいな、優雅な花が咲くんですね。東京府中市では連日真夏日が続いているのですがどういうことなのでしょう?秋咲きだとばかり思ってました。今後はこのままの置き場所で、たまに薄い水肥を施す感じで良いでしょうか?

古いタイプでは完全な秋咲きで、実生20年を越した株が、まだ生きていますが、いつも全部の花が咲き終わらないうちに雪に覆われてしまいます。現在生産しているのは、英国から新しく入れた早咲き系統で、北海道でも充分に楽しめるように、その中から少しでも花期が早いものを選抜していますので、夏に咲く個体が多く出ています。
古いタイプは休眠期間が長く、その間は乾き気味に管理する必要がありますが、早咲き個体はあまり気にしなくて良いと思います。
アルムでは気温が低い時期以外は、半日陰に置いて、肥料は、植え替えの時にマグアンプKを入れています。肥料が多いと花数が多くなりますが、バルブが腐り易くなるという説があります。年数が経てば、自然に花も多くなります。


メコノプシス・カンブリカについての質問。標高1000mの軽井沢の庭への植栽を検討中です。

耐寒性については、全く問題がありません。ブルーのメコノプシスの人気に押されて、あまり注目されませんが、北海道では宿根ボーダーの植物として、かなり定着して来ました。
用土も寒冷地では普通の庭土で育ちます。軽石と腐葉土の土壌は、まさに理想的ですが、完全に落葉樹林の中ですと、この植物には少し暗すぎると思います。午前中は日が当たり、午後から木陰になるような場所が最適です。根元に西日が当たらない場所であれば、かなりの暑さにも耐えます。また手で持てる程度の大き目の石を地表に置いて、その北側に植えると、石が地温上昇を抑えてくれるので耐暑効果があります。
札幌の夏は、結構暑いのですが、暑さで枯れたのは、数年前の猛暑で真夏日が30日近くあった年だけでした。それでも実生数年の若い株は元気で、10年生前後の古株が枯れただけです。


コリダリス・フレクスオーサの栽培法が、あまりよくわかりません。日照、水やり、肥料、鉢などについて教えて下さい。

コリダリス・フレクスオーサは、中国四川省の高地の疎林に産します。割合に水分を好むようで、沢沿いの明るい樹林下などに見られるようです。
鉢は、初年度は4号の駄温鉢を使ってください。用土は市販の山草用土、または鹿沼土と赤玉の小粒の混合で良いと思います。腐葉土は混ぜない方が、高温期に根腐れの心配がなくなります。混ぜるのであればピートモスが良いでしょう。なお、寒冷地の場合は、用土を選びません。
肥料は、植え替えの時に、マグアンプKなどを入れてください。あるいは固形の油粕主体の置肥でも大丈夫です。この場合、花が終わる頃に、そろそろ暑くなると思いますので、取り去ります。夏の休眠中は、無肥料状態が好適です。
日照は、午前中だけが理想的ですが、気温の低いときは特に注意は不要です。花が終わる頃からは半日陰に置き、鉢の内部温度を上げないように注意します。
夏の休眠中は、完全な日陰に置いても差し支えがありません。ただし、水遣りを忘れないように注意。潅水は、乾いたら与えるという、ごく普通のやり方ですが、水が好きなのでやり過ぎても大丈夫です。鉢植えの場合、前記の用土では、一日で乾くと思いますので、晴れていたら毎日潅水することになります。
うまく夏越しが出来たら、9月中旬ごろに植え替えをします。
芽の数が2倍以上になりますので、株の大きさに合わせて鉢を大きくするか、株分けをします。鉢を緩めるだけの場合も、土は一度落として、少し深く植え直しします。このときにマグアンプKであれば、茶匙摺り切り三分の一の量を用土に混入すると、手間が掛かりません。早春〜春の液肥料は追肥として有効です。ハイポネックスであれば1000倍液であれば、やり過ぎても害は有りません。


コリダリス・フレクスオーサ株分けをしたいと思っておりますがいつ頃が適当でしょうか。福岡市に在住で、明るい日陰で管理してます。10月頃にならないと最高気温が25度を下回りません。現在、地上部は枯れてます。芽が出てきて株分けをしてもかまいませんか。

本来は、気温が高い時の株分けは好ましくないのですが、新芽が見えているようであれば株分けしても大丈夫です。ただし、あまり小分けすると株の勢いが衰えますので、大雑把に分けてください。
根が浅く、根茎が露出し易い傾向がありますので、株分け後は少し深めに植えるか、または後で増し土します。


コリダリス・ルテアは夏に休眠するタイプですか。

ルテアはキケマンに近いタイプですが、キケマンとは異なり多年草です。冬は完全に休眠し、春から秋まで成長して、花も長く咲き続けます。夏は風の通る日陰で管理しますが、鉢よりも露地植が元気です。やや好石灰性。
用土は砂質土の方が根腐れの心配がありません。植え替えは、春。この種は株分けはできません。


チシマイチゴの病害虫や適する用土、増やし方や剪定、夏の過ごし方などを知らせいただけると助かります。

チシマイチゴ(Rubus arcticus) は、とくに病虫害はありません。
アブラムシがつく程度で、オルトラン粒剤で予防・駆除できます。北海道では普通に庭植え可能で、用土は選びませんが、一応、周極分布種ですので、市販の山草用土を使うのが無難と思います。成長期には結構水を要求するようですので、鹿沼土主体も良いと思います。
繁殖は、植え替えを兼ねて、春に株分けするのが一番容易で、関東なら3月初旬ごろと思います。この頃から1ヶ月ぐらいは、挿し芽も良く発根します。実生もできますが、北海道でも種子はなかなか完熟してくれません。
千島、樺太では高山植物と混生しているところが多いようですが、低地の林床や草原にも自生があるそうで、夏の暑さに対してはかなり強いと思います。それでも30℃以上が長く続く真夏は、なるべく通風良く、半日陰になるように管理したほうが好ましいと思います。
秋に発送する苗は、すでに休眠状態です。春まで、なるべく寒い場所に置いてください。土の凍結から保護できるようなら、すぐに植え替えても可です。根の張りが良い植物なので、鉢植えでは鉢が大きいほど良く育ちます。施肥はマグアンプKなどを元肥に入れ、夏越し後、追肥します。


エリスロニウムについてお教え下さい。ホワイトビューティや、パゴダといった品種は私の住んでいる横浜の気候で栽培可能でしょうか?できれば、露地植えしたいと思っています。

栽培管理については日本産カタクリと同じですが、日本のカタクリよりも強健なので育て易いと思います。
ポイントは腐植質の多い用土で、球根の上端が深さ15cm程度になるように植えることと、地上部のある期間が短いので、秋に根が出始めるころから、置肥などで肥培してやることです。夏の休眠直前は、他の草などの陰になって半日陰になるような条件がベストですが、浅植えでなければ、この点は気にかけなくても大丈夫です。
日本産と異なる点は、球根が増えることで、3年に一度位の間隔で、9月始め頃に掘り上げ、分球して植え広げてやります。


ミセバヤは初めて育てるのですが、1年中屋外で育てられますか?冬は地上部が枯れると書いてありますが、冬の間も水はあげますか?

高山性の植物ですので、通年屋外の通風の良い場所で栽培して下さい。暑さにも、かなり強いですが、猛暑の時期は半日陰で涼しくしてやると理想的です。冬の寒さには、マイナス30℃でも大丈夫です。自生地では、雪が積もりますので、冬でも土に湿り気があります。土に少し湿り気がある程度で良いので、時折水遣りして下さい。
こちらでは新芽が伸びるのは5月になりますが、御地ではかなり早いと思います。新芽が伸び始めたら、良く日に当て、普通に水を与えてください。


レウイシアについて。夏に休眠する種類は、 夏に水を切らすそうですが、具体的に、何月ごろから雨に当てず、又完全に水を与えないのでしょうか。再び水を与えるのは、いつ頃からなのでしょうか?

北海道では、例年なら7月一杯までは長雨が無いので、雨に当てても大丈夫です。休眠に入る時期は、地方によって異なり、北国では遅くなります。葉が無くなって休眠に入ったら雨よけします。休眠中の潅水はは、用土がかすかに湿っている程度で充分です。完全に干し上げると、球根ではないので枯死します。


カンパヌラ・エリザベス。ホームセンターで購入したのですが、宜しければ今後の管理方法を教えてください。

エリザベスという種類は存在しませんので、園芸品種の「エリザベス オリバー」Campanula 'Elizabeth Oliver' だと思われます。この品種の性質は、日本産のCampanula 属でいうと、イワギキョウに相当します。根の量は多いですが、主根がなく、地中からランナー芽を多数出して、大きなクッション状の株立ちになります。生育が早いので、鉢植えでは1年で根詰まり状態になり、放置すると枯れこみます。
市販されている鉢植え株は根詰まり寸前と思われますので、とりあえず一回り大きな鉢に植え替えします。本来、このタイプのCampanulaは、春早く、芽出しのころに株分けを兼ねて植え替えします。株分けは大雑把に割る感じで良く、小分けも可能です。夏には、また鉢一杯になりますが、この時期が一番枯死しやすい時期ですので、通風の良い場所に置いて蒸れを防止します。
無事に夏越しをした後に、2回目の株分けと植え替えをして、株の若返りを図ります。状態が良ければ、2回目の植え替えは省略します。花が咲いた太い茎は枯れこみやすく、それから伸びたランナー芽が充実して、翌年花をつけますが、春の株分け植え替えを怠ると、翌年咲く茎まで枯れこんで、孫生えのそのまた孫生えばかりになって、花が咲かないことになります。
同じように管理する種は
Campanula caespitosa
C. cochlearifolia
C. pulla
C. rotundifolia (イトシャジン)
などです。


アネモネ・ネモローサ類について質問。当方は、ビギナーですが、一般園芸種のアネモネ・ブランダ、etcは、育てた事があります。関西の一般家庭の庭でも、栽培が出来るのか知りたいです。

アネモネ・ネモローサやアネモネ・リプシエンシス、八重咲キバナノハナイチゲなどは根茎種で、ウッド・アネモネと呼ばれるグループです。日本のイチリンソウやニリンソウがこれに含まれます。
アネモネ・ブランダは球根種で、球根種の場合は、休眠期の多湿に注意が必要ですが、根茎種は特に注意する必要はありません。森林性の春植物なので、暑くなる夏には休眠してしまいます。鉢植えの場合は、休眠中に潅水を忘れて乾かし過ぎることがあり、その結果、弱ってしまうことがあるのですが、庭植えの場合は、一度植えてしまえば、特別な管理は必要ありません。
日本のイチリンソウやニリンソウが庭植えで栽培できる環境であれば、ウッド・アネモネは栽培できます。自生地に似せた土作りと環境を与えると最適ですが、普通の庭土だけでは、やや重過ぎるので、市販の砂類主体の山草用土を混ぜて植え込みます。ピートモスなど腐植質も混ぜると、もっと理想的です。植え場所は、春の開花時に日が当たり、その後は、他の草や木の陰になるような場所を選びます。落葉樹の下が一番良いのですが、夏場の暑い時期は休眠していますので、長時間直射日光が当たるような場所でもない限り、問題はありません。庭石のそばなどは、石によって地温上昇が抑えられるので、かなり直射日光が当たっても大丈夫です。
山草用土では、肥料持ちが悪いので、根が成長する秋のうちから固形の油粕などを施肥します。植えっぱなしでは、次第に株が混んで、全体に痩せて、花つきも悪くなりますので、3年を目途に株分けして植え替えます。


ミドリニリンソウですが、翌年には普通の白花に戻ってしまいます。どうしてでしょうか。

かなり以前ですが、ミドリニリンソウの試験栽培を委託されました。そのころは、ミドリニリンソウは土壌に関係した変異という説がありましたが、結果は、やはり固定した変異ではなく、2年ほどで全部普通の個体になりました。
今でも、本によっては分類上の品種formaとして扱っていたり、また販売している業者もいます。最近の研究で判ったことは、この変異はウイルスなどと同じに植物に伝染するマイコプラズマというものによって引き起こされること、媒介者はヨコバイで、多くの植物に伝染するということです。感染していても、栄養状態が良いときは免疫機能が高まるのか、普通の花が咲くことが多いようで、土壌養分も関係があります。販売されているのは間違いなく山採り株ですし、しかも羅病した植物ですから、これには手を出さないのが無難です。


サンインシロカネソウ。栽培の注意点を教えてください。

栽培方法のポイントは、用土と置き場所です。
水が好きで、しかも割合に根が浅い植物ですので、一般の山草類よりも細かめの用土を使うと良いと思います。丹念に潅水できるならば、夏の高温期対策として粗い用土の方が根が傷む心配は無いのですが、こちらではバーミキュライトなどを混入して元気に育てている人もいます。
置き場所は、半日陰〜日陰が機嫌が良いようです。通風は好みます。肥料は、春の芽だし頃に与えて、夏には肥料が切れる状態が良いでしょう。面倒でなければハイポネックスなどの液肥も良いと思います。


シラネアオイを、鉢と地植え両方やってみようと思います。鉢は10号鉢に大きな株を1株植えようかと思いますがどうでしょうか?

木陰などに地植えすると、特別なケアも必要なく本来の成長が期待できます。鉢植えは10号鉢なら充分と思います。本当は腐葉土など混入が良いのですが、地植えに比べて水分調整が難しく、腐植質を多くすると、夏場の高温期に根が傷みます。鹿沼土、赤玉など主体が無難です。元肥はマグアンプKが安心ですが、化成肥料は効きが悪いので、芽出し前から固形の発酵油粕などを、やや多いかなと思う程度やってください。暑くなるころには置肥の効果が失せていますので、崩れる前に取り除き、以後、秋までは液肥が無難と思います。夏場の暑い時期に、鉢本体に直射日光を当てなければ、地温上昇が抑えられますので、根の傷みは防げます。