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Primula marginata 'Laciniata'
プリムラ・マルギナータ「ラキニアタ」 (サクラソウ科)
アルプスの南西部、フランスとイタリアのマリティムアルプスとコチアンアルプスに自生するプリムラ・マルギナータは、非常に変異の幅があるプリムラで、葉は鋸歯がある卵形から槍形で、葉のサイズ、形、鋸歯の大きさも変化に富む。栽培的に人気があるのはブルーの花だが、花色も淡いライラック色からピンクがかったロイヤルブルーまで幅があり、花のサイズや草丈にも変化が多い。英国では古から栽培されてきて、野生個体から多くの名前の付いた品種が選抜されている。 写真のプリムラ・マルギナータ「ラキニアタ」は、古い文献ではPrimula marginata var. laciniataの学名で変種として記載されていた。 laciniataは葉が「細かく分裂した」の意味。肉厚の葉をファリナ(farina)と呼ばれる白いワックス状の覆いが縁取り、花がない時期には、とてもプリムラ属とは思えない個性的な姿で、変種として分類されたのも頷ける。 プリムラ・マルギナータは、野生では石灰岩の割れ目や岩棚に生えているとされているが、必ずしも好石灰性ではなく、一般的な砂質の栽培用土で良く育つ。多くの選抜品種は、根茎基部から出るオフセット(脇芽)を挿し芽することで容易に増やせるが、この「ラキニアタ」は茎が分かれてもオフセットが出ず、栽培の本場英国でも、この「ラキニアタ」は、あまり販売されていない。多くの栽培品種は、北海道でも積雪下で越冬するが、魅力的な葉が傷まぬように、これだけは無加温ハウスで越冬させている。 これとは対照的なのが新しい品種のプリムラ・マルギナータ「ナポレオン」。非常にコンパクトで小葉性。花はライラックブルー、多花性で増殖も容易。この二品種を並べると、とても同一種には見えない。この品種は、マリティムアルプスにナポレオン軍が2世紀前作った要塞地域に自生していた個体で、英国のテイラー夫妻によって見つけられたものだという。
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