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日本に自生するプリムラは、14種あり、変種を含めると30弱に分類される。しかし同一の種であっても、地理的変異が見られる種が多く、そうした変異をどの程度重要視するかで、学者によって分類が異なり、学名命名上の混乱が生じていた。近年は細かく分けない大種主義的な分類が主流になっており、ユキワリコザクラなどPrimula
modestaは欧州からシベリアに分布するPrimula
farinosaのの亜種として分類されるようになった。今では、分類上の品種(forma)レベルでは図鑑などに記載もされない。地理的変異にもこだわる山野草園芸の視点は、分類とは別に僅かな表現形の違いも大切にして、昔からネムロコザクラ、エサンユキワリコザクラといった呼び方が通用している。 |
Primula modesta ex
Ashibetu 芦別ユキワリソウ(仮称) 昔から芦別岳にはユキワリソウは自生しないと言われていたが、90年代に西面の芦別川上流の石灰岩岩壁で数十個体のプリムラが見出され、種子が採種された。当初は、同じ夕張山地のキリギシ山産レブンコザクラに近いと思われていたが、DNA解析でユキワリソウ(特徴は葉柄が細長い)と判明した。 |
Primula
modesta fauriae 'Alba' 満月咲き白花ネムロコザクラ 根室地方の海岸や草原には、ユキワリコザクラが沢山自生している。この地方のものは葉が広卵形の個体が多く、比較的に強健な性質を持つので、昔からネムロコザクラの名で栽培されている。写真は、実生選抜の白花品種で、花弁が広弁で密接し、円形の豊かな花形。 |
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Primula modesta fauriae f. ohotakei 白花シャリコザクラ 1939年、舘脇操博士の助手だった大竹英二郎氏が斜里岳で発見し、formaとして記載されたが、現在はユキワリコザクラと同一とされている。葉が広卵形のネムロコザクラに似るが、それよりも葉が円形に近い。白花個体は自生地では記録が無いが、アルムの実生苗から出現した。 |
Primula modesta fauriae f. ohotakei. 八重咲シャリコザクラ ユキワリコザクラの八重咲個体は、実生で出現した複数の系統が存在するが、中心が八重のコラレット咲きがほとんど。これはアルムで実生選抜のフルダブルの最優秀個体。 |
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Primula modesta var. samanimontana 八重咲サマニユキワリ 日高山脈南部の亜高山帯に分布する種類で、葉が小さく葉柄が長いことなどから変種として分類されたが、これも現在はユキワリコザクラと同一とされた。実際、自生地でも中間的な個体は多く、顕著に特徴が現れた個体からの実生苗でも、かなりの変異幅が出る。この八重咲品は、アルムの実生苗から選抜のオリジナル。 |
Primula
modesta var. samanimontana 濃色八重咲サマニユキワリ 標準の一重の個体にも、花色の濃淡の個体差があるが、これは濃色で八重咲きの個体。デジカメの発色では微妙な色の差が出ていないが、白花に比べると濃色個体の出現率は高い。 |
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Primula modesta var. samanimontana 白花八重咲サマニユキワリ 白花は劣性遺伝のため、自生地で見つけることは非常に難しいが、個体数が限られる栽培では遺伝子の多様性も限られるせいか、実生を繰り返すと、白花の出現率が高くなる。それでも一重の白花を出すまでに、アルムでは10年近くを費やした。更に白花八重咲きの固定には10年以上を費やして継続中。 |
Primula
takedana 白花八重咲サマニユキワリ 一重の花も混じるものの、ほぼ八重咲きになっている。この程度の八重咲きは固定度が低く、年によって一重に戻ったりする。残念ながら安定した白花の八重咲きは、まだ出ていない。 |
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2011/09/10