高山風衝ハイデ
常に強風に晒される高山の山頂部や尾根筋は、真冬でも積雪が少なく、植物にとっては非常に過酷な場所だが、少しでも積雪に恵まれる条件であれば、ツツジ科植物を主体にした丈が5cmから10cmほどのカーペット状の高山風衝低木群落が見られる。
このような群落は北半球の高山や周極地域に広く分布していて、共通する種や近似の種類で成り立っているが、北欧や欧州中部ではエリカ(Erica)が主体の低木群落で、総称してヒース(Heath)またはハイデ(Heide)と呼ばれることから、高山風衝低木群落は「高山風衝ハイデ」とも呼ばれている。
日本の山ではコメバツガザクラやミネズオウ、イワヒゲ、コケモモ、ウラシマツツジ、クロマメノキなどが主体で、少し潤沢な場所ではツガザクラ類やキバナシャクナゲも加わり、夏には、この上なく美しい天上の花園を出現させる。
|
|
風衝ハイデを構成する植物は、欧州産のエリカ・キネレアやエリカ・バガンスなどのように多くの園芸品種が選抜され、庭園材料として一般化されている種類もあり、日本の高山に分布する種類でも、昔のように栽培が難しい山採り株が売られるようなことは無くなって、選抜された個体からの挿し木クローン苗が流通している。ジムカデやチシマツガザクラなどを除くと、北海道など涼しい地域での栽培はさほど難しくは無い。
ツツジ科の高山植物の殆どは、花も小さく可憐なものが多いが、シャクナゲ(Rhododendron)類には小さくても華麗な花の種類が少なくない。
|
|
散り斑大実のコケモモ
Vaccinium vitis-idaea minus 'Variegata'
園芸的に「大実のコケモモ」と呼ばれるものは樺太産と詐称されることが多いが、道東オホーツク沿岸の低地に自生する大実タイプ。母種のオオコケモモとの中間タイプが多い。着果数多いので収量が多く、道東では果実酒やジャムに利用される。写真の個体は当園の実生より出現した非常に安定した散り斑で、青葉の枝も出るが、青葉の枝にも後に斑が出る。実の大きさは標準。
|
|